7000HIT 凌様
「黄昏」
遠くで 電車の音が聞こえる
薄闇の中に 仄かに明かりが灯り
街は 静寂につつまれた
月は ぼんやりと光り
風は 幽かに 揺れる
遠くで 電車の音が聴こえた
通り過ぎてゆく未来
置いていかれるのは俺
唯 秋の風に つつまれて
進めない一歩
昇ってゆく月
翳ってゆく太陽
その狭間で 俺は
ひとり
誰も気に留めない
小さな小さな存在
月と太陽がすれ違って
だんだん夜が近付いて来た
ああ、そろそろ俺も終わりだ
死に様くらい選ばせてくれ
遠くで電車の音が聞こえる
ほんの少し残っていた夏が
雨とともに香る
その狭間で 俺は
せめて この声だけは届くように
小さく
叫んだ