紫様へ 『都市(マチ)』

雑音の鳴り響く都市


すれ違う人の顔すら見えない




光線の飛び交わぬ都市


すれ違う人の息さえ聞こえない




こんな都市には 色さえも必要ない




電線の絡み合う都市


壊れ逝くビルの外すら見えない




太陽の届かない都市


壊れ逝くビルのきしみも聞こえない




こんな都市には 夢さえも必要ない




ざわざわと聞こえる音も


 どうせぎりぎりの戯れ



ぎりぎりを通り越したら


 音さえも残らない




どこかで聞こえてる罵声も


 耳に届いて入らない






こんなに煩いのに

こんなに明るいのに




この都市には色も音も有り得ない





崩れ逝く廃墟の写真の中みたいな


こんな都市には空さえも必要ない