遠くの 遠くの 遠くで
呼んでる
誰かが
真っ暗な 真っ暗な 暗闇を
恐る恐る 旅をする
人が失ってはいけない「感覚」を
失った彼は
もはや感情だけで生きている
彼は感じていない
暗闇や 静けさや 冷たさを
だが彼は感じている
恐れや 欲望や 苦しみを
走っているのか 歩いているのか
そもそも存在しているのか
まったく何もわからない中
彼の感情だけが光る
唯一彼を証明する感情が
彼に語りかける
遠くの 遠くの 遠くで
呼んでる
誰かが
ふっと風を感じる
感覚を手に入れた
そう思った刹那
やわらかい唇が彼の唇に触れる
ゆっくりはなれる冷たさが何よりも
恐ろしく。
彼は眠りの旅路を・・・・・・