電信柱の送電線に
遮られた空
あの広い広い空はもう
見えなくなってしまった
コンクリートのテトラポットに
区切られた海
あの遠い遠い海はもう
見えなくなってしまった
ずっとずっとそこにあったものを
壊していくのは誰の気まぐれ?
美しいこの地をずたずたに踏み固めて
ぬくもりすら消えてしまった
都会の悪臭に身を寄せても
人とのつながりは見つからない
広く大きなものは荒れ果てて
心通う色は褪せていく
夜の光りに反射するのは
冷たい瞳と鋭利な刃物
自らの意味を知りたくて
彼の瞳から涙が流れる
行く末は暗い夜の道
輝くのは紅い夜の声
痛みにしか反応できない人間は
自らの身に傷を刻む